こびとの本を買ったらパクリって言われた話
久々のブログだがいきなり過去回想から入る。
わたしが小学校中学年くらいの頃、クラスの女子の間で「こびとづかん」という書籍シリーズが大流行したことがある。
こびとブームの中心にいたMという子が毎日こびとの本を学校に持ってきて、みんなに見せていた。休み時間には何人もの人がMの机に群がってこびとの話をしていた。ちなみにMはわたしと仲が良く、親友と呼び合うほどだった。(何だかんだ今もそう)
わたしはこびとについて何も知らなかったが、とにかくめちゃくちゃ流行ってたので興味はあった。ただMの机には人が群がりすぎていて入っていける感じじゃなかったので、自分で同じ本を買った。
次の日、Mに自分も本を買ったことを話した。
Mは良くも悪くも何も考えない感じの性格で、無邪気で自由奔放、そんな感じの女の子だった。そんな彼女は、自分の机に群がる女子たちに「みわもこびとの本買ったんだって!!」と嬉しそうに話した。みんな喜ぶと思ったんだろうな。なんならわたしもそう思った。
だけど、なぜか空気がひりつき始めて、あ、これはまずい、と思った時には遅かった。
それからわたしはクラスの大半の女子から陰口を叩かれることになった。
内容は「みわちゃんがこびとをパクった」。
すれ違うたびに小声で「パクリ」と言われ、水道で手を洗っていたら聞こえるように「もうこびと流行らせるのやめようかな、パクった人がいるからねー!」などと言われたりした。いじめ1歩手前である。
この現象はわたしや誰かが反論したり謝ったり、ということではなく、こびとブームと一緒に自然消滅した。母に相談したりはしていたのでもしかしたら裏で(先生などを通して)何かあったのかもしれないが、わたし目線ではいつの間にか何も言われなくなっていて、みんな忘れたように普通に話してくれるようになった。
話はそれだけ。
冷静に考えると意味がわからない。
「こびとづかん」は別にMやクラスメイトのオリジナル作品でもないし、万引きしたわけでも誰かから盗んだわけでもないし、「パクった」と言われる筋合いなんてないはずだ。
ここで、「パクリ」と言われていた頃によくされていた質問を思い出す。
「好きなこびとは?」
わたしはこびとづかんの世界観や本の記述については面白いと思っていたが、個々のキャラクターにそこまで思い入れがなかったというか、特にこれが好き!というのはなかったので「特にない」か「全部好き」と答えていた。
しかし、女子たちはこの質問を通してわたしのこびとに関する知識、熱量(?)を計っていたようで、わたしが具体的なこびとの名前を出さないから、「こびとについて知らないのに好きだと言っている」「本当はこびとに興味がないのに話に入るだけのために本を買ったのではないか」と思われ、不快感を与えたようだ。
そういう感情を小学生の拙い語彙では表現しきれず、「パクった」になったのだろう。
今はそう解釈している。
もしかしたら騒動がおさまったのも、わたしがそれに気づいてこびとの名前を答えるようにしたからかもしれない。
もう多分誰も覚えていないから答え合わせはできないけれど。
当時の女子たちの感情には理解できる部分もある。
自分が好きなコンテンツには本当に好きな人、興味がある人だけ入ってきて欲しいし、興味はないけど会話に入りたいからという理由で手を出されたらちょっと凹む。
そういう感情って思ったより怖い。小学生のいじめもどきだけの話じゃなくて、にわかファンが叩かれたりといった事案は色々な界隈でよく見かける。
ていうか、「にわか」とかそういう言葉を知らない小学生が自分たちで言葉を充ててまでそれを排除しようとする感情、怖くない?
まあだからと言って陰口を叩いていい理由にはならないと思うが、わたしもわたしでもっとこびとに興味あるよ!興味あるから買ったんだよ!っていうアピールをすればよかったのだ。
コンテンツに手を出すきっかけが少し邪道でもそこから興味を持てることだってあるし、一概に悪いとは言わない。
だけどまあそれがファンの感情を逆撫ですることもあるから気をつけようなってお話でした。
おわり。